願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

前川たけし『鉄拳チンミ Legends』11巻

 

鉄拳チンミLegends(11) (講談社コミックス月刊マガジン)

鉄拳チンミLegends(11) (講談社コミックス月刊マガジン)

 

 

ばふちん「おいおい、『鉄拳チンミ』って、俺が生まれた年にアニメ化された漫画だぞ」
やこぶそん「タイトルよく見ろよ、『Legends』って付いてるだろ」
ば「それはわかってるよ。『月刊少年マガジン』に長期連載が多いことも把握してる。
 俺が言いたいのは、なぜ今更『鉄拳チンミ』なんだってことだよ」
や「今更『鉄拳チンミ』に興味を持つやつが少ないからだよ」
ば「( ゚Д゚)ハァ?」
や「ちなみに、俺自身は、『鉄拳チンミ』とか『海皇紀』とか『なんと孫六』とか、『月刊少年マガジン』系列の、なんというか、週刊連載の少年漫画と比べて華々しくはないけど、ずっと続いていた――あるいは今も続いている――長篇漫画に、最近、シンパシーを感じてるんですよ」
ば「たしかに『月刊』である時点で日の目を見ないよな。
四月は君の嘘』や、月刊じゃなくて『別冊少年マガジン』案件だけど、『進撃の巨人』は、日の目を見たけどな」
や「例外なんだよ。例外だから日の目を見たんだよ」
ば「『月刊少年ジャンプ(廃刊)』でいえば、『わたるがぴゅん!』とか『かっとび一斗』とか『イレブン』とか、そういうポジションの漫画にスポットライトを合わせたいと?」
や「まぁ七割がた合ってるかな」
ば「残りの三割は何なんだよ・・・・・・」

 

や「いまさっき『鉄拳チンミ』に『Legends』が付いてるっていう話したけどさ、あの『Legends』にはちゃんと意味があるんだよ」
ば「どんな意味だよ」
や「このシリーズで、主人公のチンミは『国家功労賞』を受けるんだよ」
ば「国民栄誉賞みたいなものか?」
や「ちょっとズレてるな。
 チンミが『国家功労賞』をもらった理由は、『天覧武道会で優勝し、皇帝陛下暗殺を防いだ』からだということが、この単行本11巻の『前巻まで』の記述から読み取れる」
ば「皇帝陛下の暗殺を防いだなら、国民栄誉賞より、『国家』功労賞のほうが、確かにしっくりくるな」

 

や「まぁ『鉄拳チンミ』ってタイトルの通り、主人公はチンミなのだが」
ば「はい」
や「この巻で主人公の視点を担っているのは、どうもチンミではないんだよ」
ば「そりゃ、どういうことや」
や「ほら、あるだろ、作品が長期化すると、新しいキャラが主人公の立場に近づいていくってことが」
ば「たしかにな」
や「で、この巻で実質的な主人公の立場に近い――実質的な主人公『である』とは言えないけど――キャラクターは、『レンカ』という女の子だ」
ば「誰?」
や「国軍の最高司令官・オウリン将軍の娘らしい」
ば「そりゃ大変な身分だな」
や「この巻の冒頭でレンカは、『チンミの記録係になりたい』という風なことを言うんだ」
ば「ああ、長期連載漫画にありがちなポジションのキャラクターなんだな、そのレンカって子は」
や「俺、さっきも同じようなこと言ったでしょ? 作品が長期化すると、レンカみたいな立ち位置のキャラクターが出てくるんですよ。
 でも、レンカ以前に、チンミには『ヤン』っていう存在があるんだ」
ば「誰?」
や「正ヒロインに決まってるだろ。まぁ、チンミの幼なじみの女の子ってとこだ」
ば「それはレンカにはきついな。『当て馬』みたいなもんじゃねえか」
や「でも、レンカがいないと、この巻の物語は成り立たない・・・・・・言い換えるなら、『物語が物語にならない』ってところか」

 

ば「で、どんな話なんだよ、『鉄拳チンミ Legends』の11巻は」
や「一言で言うと、チンミが”水害”に立ち向かう話だ」
ば「水害?」
や「そう、本編では『大水(おおみず)』と表現してるけど、要するにチンミの村に洪水が襲ってくるんだ」
ば「それって、3・11とか、時期が時期ならヤバい話なんじゃ・・・・・・」
や「東日本大震災が起こる何ヶ月か前に、この巻に収録している話は『月刊少年マガジン』に掲載された」
ば「マジかよ」
や「だから、ちゃんと作者もカバーの折り返しで言及してる。『単行本作業中に東北・関東地方が未曾有の大災害にみまわれる現実のニュースに直面しました』と。
 本編は、チンミの村を流れる川の上流が決壊するところから話が動いていく。
 ところが、あろうことか、とある事情により、ヤンは上流側に向かってしまう」
ば「なるほど、それでヤンが『大水』に巻き込まれて、彼女をチンミが救う、っていう筋になっていくわけだな」
や「こういう所だけ、お前は勘がいいんだな・・・・・・」
ば「でしょでしょ? (・∀・)」
や「ちなみにこの11巻は丸ごと水害に関する話であって、言い換えればこの巻だけで『読みきり』のような形になっているので、おれのような『鉄拳チンミ』初心者もとっつきやすく、続きを待たされる心配もないのだ」
ば「そういったストーリー漫画って、案外少ないよな」