願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

監督の名前の後追い

bakhtin1988.hatenablog.com

 

「監督だよ、監督。監督の名前の後追い」

 

 俺は屋上で煙草を吸っていた、というのは嘘で、俺は喫煙者ではない、ただ虚空を見上げていた。

 ーーとりわけ2007年の秋にアニメを純粋に楽しめなかったのは、監督の名前でアニメを観ていたからだった。

 

2007年10月期の深夜アニメ

”彼”に、詳しく尋ねてみると、このクール(2007年10月期)は、『ナイトウィザード The ANIMATION』と『スケッチブック 〜full color's〜』推しだったという。

 

「なぜなら、『ナイトウィザード』は山本裕介、『スケッチブック』は平池芳正が監督だったからだ。いずれもサトジュンさん(佐藤順一)に近しい演出家だった。あまつさえ制作はハルフィルムメーカーだった。観ないわけにはいかなかった。が・・・・・・」

 

「『ナイトウィザード』は、もう一回観返したいアニメだ。しかし、薄いアニメだった。薄いというのは内容だ。『スケッチブック』もそうだが、作画が驚異的に崩れなかった”のは”評価できた」

「『スケッチブック』は岡田麿里(シリーズ構成)がやらかしたと思った。原作のほうが20倍面白かった。敢えてこれは断言させていただく。原作の『スケッチブック』は神漫画だ。ただアニメは・・・・・・途中で山本寛演出回があって驚愕した記憶がある。いちばん評価できるのは奇をてらったキャスティングなのだが・・・・・・」

 

 ここで2007年秋に始まった深夜アニメをおさらいしてみる。

 

 

ーー錚々たる面々じゃないですか。非の打ち所がない。

 

「本当にそう思うか?

 まず監督の名前を信頼して大怪我した例を挙げてみたい。『キミキス pure rouge』だ。

 それまでにカサヰケンイチが監督していたテレビアニメは『ミルモでポン!』『メジャー』『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』、どうだ、非の打ち所がないと思うだろう?」

 

ーーたしかに。

 

「しかるにアニメ版『キミキス』は大炎上した。いろんな解説がWeb上で見つかると思うから、理由は省く。俺は心に残っているアニメなんだが、主にストーリーの面でメッタメタなアニメだった」

 

ーーその後のカサヰ監督は・・・・・・。

 

「『青い花』と『バクマン。』と『超訳百人一首 うた恋い。』だね。この3作品は評価されてる。もっとも【評価されてる】と言ったからって、俺が評価しているのかはわからないけどね。

 個人的には『オオカミ少女と黒王子』で伊藤かな恵を主人公で使ったのは【神ってる】と思った」

 

ーー『みなみけ』太田雅彦だったり、『ドラゴノーツ小野学だったり、いまはバリバリ活躍されているじゃないですか。

 

「太田雅彦が『みなみけ』の前に何を作っていたと思う?」

 

ーー何ですか?

 

「キャベツがただの球体になって出て来るアニメだよ」

 

ーーあ、『夜明け前より瑠璃色な』。

 

「だから俺は『みなみけ』にあんまり期待していなかったんだ。ところがフタを開けてみれば、アニオタ内視聴率80%級の人気番組になって、シリーズは4期まで行って』

 

ーー太田監督は汚名返上したからよかったんじゃないですか。

 

「俺は、太田監督が本当にやりたいのは『琴浦さん』みたいな路線なんだと思う」

 

ーー?

 

「すまない、話が脱線した。

 小野学監督は、それまでこれといった実績がなかった。『ドラゴノーツ』という作品自体が、事前情報の時点で”これは悪い方のGONZOだな”というのがある程度把握できたので、玉砕してもまったく驚きがなかった。

 しかるに小野学はその後が凄かった。『咲-saki-』『Aチャンネル』『境界線上のホライゾン』『魔法科高校の劣等生』と4連発どっかんパンチみたいなものだ。俺は特に『咲-saki-』と『Aチャンネル』をおすすめするがな」

 

ーー大沼心(『ef』)は。

 

「半信半疑だった。テレビシリーズ初監督だったからね。もちろん新房昭之のラインだってことは”みんな”把握していたけれど、フタを開けてみれば、2000年代を代表する演出アニメになった。ただーー」

 

ーー「ただ」って? 何かがおかしかったんですか?

 

「『ef』の1期は、ストーリーが気に食わなかった。もちろん7話の演出なんかは俺も評価してるよ。あれは普遍妥当性があると思う」