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願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

馬券の種類について(単勝・複勝編)

 現在、JRAは、9種類の馬券を発売しています。

 

 JRAの関連サイト「Umabi(ウマビ)」では、「応援馬券」を馬券の一種とし、「WIN5(ウインファイブ)」を馬券の種類から除外しています。そのうえで「馬券には9種類ある」と、ラジオNIKKEIの小塚歩アナウンサーの口から語らせています。

 つまり、JRAの定義によれば、馬券は「単勝」「複勝」「応援馬券」「ワイド」「馬単」「馬連」「3連複」「3連単」「枠連」の9種類ということになります。

 

 しかしながら、JRAの説明には疑問符がつきます。「応援馬券」とは、「単勝」と「複勝」をセットにした馬券であり、言わば「単勝」と「複勝」の結合物かつ上位概念であります。

 また、「WIN5」を、インターネット限定発売であるからという理由で除外していますが、インターネット経由で馬券を購入している層が急激に上昇している今、「WIN5」は馬券の一種であるということをもっと強調してもいいのではないでしょうか。

 

 私なら、馬券の種類は以下の9種類だと説明します。

 

  • 単勝(たんしょう)
  • 複勝(ふくしょう)
  • 枠連(わくれん)
  • 馬連(うまれん)
  • 馬単(うまたん)
  • ワイド
  • 3連複(さんれんぷく)
  • 3連単(さんれんたん)
  • WIN5(ウインファイブ)

 

 JRAの説明と順番を変えているのは、馬券の歴史を踏まえるとこういう順番が妥当ではないか、と思ったからです。ただし、「ワイド」は「馬単」より先にできた馬券です。しかしながら、馬券の性質を考慮して、「ワイド」を「馬単」の次にしています。

 

馬券の種類の説明

単勝(たんしょう)

 1着を当てる馬券です。買った馬が勝てば当たり、負けたら外れ、非常に単純でわかりやすい馬券です。多くの競馬指南書では初心者にこの馬券を推奨しています。

 単勝は、現在は何枚でも買うことができます。つまり、出走する全馬の単勝を買ってもいいわけです(必ず当たる)。「現在は」と但し書きしたのは、実は馬券を2枚以上買うことが禁止されていた時代があったからです。

 ちなみに、単勝は、馬券が発売されるようになって最初に登場した券種です。つまり、馬券発売当初は単勝しかなかった、ということです(詳しくその辺の事情を知りたい方は、競馬の歴史を調べてみてください)。

 単勝は、英語では「WIN」です。非常に明瞭な名前です。

 最初の馬券である単勝は、馬券の「原点」「王道」とよく形容されます。でもこういう言い方はちょっと胡散臭いです。しかしながら、馬券で稼ぐことを生業としているいわゆる「プロ馬券師」は、単勝を非常に好みます。玄人ほど、1頭だけが対象となる単勝複勝を好むと言われています。

 ただ、彼らは何十万とか何百万とかいう金額をブチ込むのであり、一般人の私たちには関係のない話です。とりあえず、直感で選んだ馬の単勝を100円だけ買ってみるのはどうでしょうか。

 ちなみに、私の会心の的中馬券は、ほとんどが単勝でした。

 

複勝(ふくしょう)

 単勝の次に登場した馬券であり、英語名は「PRACE」または「SHOW」です。日本の複勝は「PRACE」のほうに該当します。作家の菊池寛は古典的名著『日本競馬読本』において、複勝のことを「プラッセ」と表現しています。

 でも、ここまでの説明では、複勝が何のことやらわかりませんので、具体的に説明してみます。

 まず、複勝の妥当な定義は、「3着以内に入る馬を当てる馬券」だと思います。つまり、買った馬が3着以内に入れば、勝とうが負けようが的中です。

 ここで是非とも注意していただきたいことがあります。それは、「レースが7頭以下で行われるときは、2着以上が複勝の的中の対象になる」ということです。

 この「レースが7頭以下で行われる」というのが、非常に厄介です。実は私も長年競馬を観ていますが、「8頭立てのところが何らかのアクシデントで7頭以下になった場合」、複勝が「2着払い」になるのか「3着払い」になるのか、正直即座に答えられません。

 正解は、

  • 馬券の発売開始前に出走を取り消した馬がいる場合は「2着払い」
  • 馬券の発売開始後に「競走除外」になった馬がいる場合は「3着払い」

 であります。

 さきほど「レースが7頭以下で行われるとき」と書きましたが、より正確には「馬券発売前に」7頭以下で行われることが確定した場合、2着以内でないと複勝が当たらない、ということです。

 この原理は非常に難しく、初心者の方が理解しようと思っても無理です(地方競馬では発生頻度が比較的高い)。ですから、そういうケースに出くわした場合は、緑色の制服と制帽の係員のお兄さんに訊いてみるか、いよいよ最終的にはレースが終わった後でとにかく払い戻し機に馬券を突っ込んでみて当たり外れを確認するのがベターかと思います。

 

 複勝は、JRAが発売している馬券のなかで、いちばん当たりやすい馬券です。

 18頭立て競走の場合、複勝の当たり目の数は3/18です。複勝は当たり目が3通りあるのです。単勝の3倍当てやすいということになります。

 お気づきの方もおられるかも知れませんが、いちばん当たりやすいということは、いちばん配当が安いということです。人気馬の複勝は100円台です。つまり複勝の配当が140円だった場合、100円賭けても140円しか戻ってきません。

 ですので、複勝は大口の購入者が多い馬券です。「大口(おおぐち)」とは、100万単位とか1000万単位で馬券に金がブチ込まれることです。複勝にブチ込まれるケースが多いのは、そうしないと利益が出ないからです。

 もちろん、市井の人間である私たちにとっては、関係のないことです。しかしながら、金持ちがブチ込んでいるのではなく、人生を文字通り賭けている人が借金返済のためにブチ込んでいるというパターンも多いのです。当然そういう人は、外れたら飛び込み自殺です(怖い話ですが、過去に日曜日の夕方に京阪電車京王線が止まったことが何回もあります)。私たちは絶対にこういうことをしてはいけません。

 作家・馬主の浅田次郎氏は、「複勝は絶対に買ってはいけない」と『競馬どんぶり』という本で書いたことで有名です。治郎丸敬之さんや、『ラップギア』理論の岡村信将さんも、単勝強硬論者です(複勝を否定しているというよりも、究極の馬券は単勝しかないという主張)。

 対して、グリーンチャンネルの予想番組に出演している棟広良隆さんは、「複勝は穴馬券の起点」という意味合いのことを自著で書かれており、複勝をおおいに肯定しています。これは、棟広さんが穴狙いを信条としていることと関係が深いです。単勝は、実はほとんどが10倍以下の低配当なのです。単勝は”枠”--枠順という意味ではなく、馬券の”枠”--が1つしかありません。しかし先ほど述べた通り、複勝は3つ当たり目がある、つまり馬券の”枠”が3つあるのです。1番人気の馬が勝っても、超人気薄が2・3着に突っ込んでくるケース(多くは3着)は、やはりたくさん目にします。単勝110円の馬が勝っても、14番人気の馬が3着に突っ込んできて複勝配当が2000円超え、というケースがあります。棟広さんはこういうケースを想定して「複勝は穴馬券の起点」--私の意訳ですが--と言っておられるのだと思います。

 また、『競馬最強の法則』の看板予想家だった木下健さんは、馬券で生活していた当時、複勝コロガシでお金を稼いでいたそうです。「コロガシ」とは、当てた配当金を全部次の馬券に投入することです。『わらしべ長者』を想像してもらえばわかりやすいでしょう。もちろん複勝なので元手は必要です。ちなみに木下さんは、「勝つと思う馬の複勝を買わなあかんで」と自著で記されています。

 

 ここで複勝の配当の出かたを、是非とも言っておかなくてはなりません。複勝は当たり目が3通りあるので、(3着以内に)入った馬の組み合わせにより、配当金が変化します。

 

 これを実戦例で説明してみます。2016年の桜花賞を取り上げてみましょう。

 このレースで2着だったシンハライトという馬の複勝オッズは「1.2~3.0」でした。勘の良い方は、「あれ? ずいぶん『振れ幅』が大きくないか?」と思われたかもしれません。なぜこんなオッズになったかというと、メジャーエンブレムという馬が、断然の人気を集めていたからです。メジャーエンブレム複勝オッズは「1.1~1.1」でした。この数値は、メジャーエンブレムが3着以内に入っても、絶対に1.1倍にしかならないよ、ということです。

 ところが、メジャーエンブレムは4着に敗れてしまいました。つまり、当然ながら、メジャーエンブレム複勝は成立しません。こうなると、複勝3番人気の人気サイドであったシンハライトの配当(オッズ「1.2~3.0」)がハネ上がります。メジャーエンブレムが馬券になっていたら、シンハライトが馬券になっていても、シンハライト複勝はおそらく100円台前半だったでしょう。しかしながら、メジャーエンブレムが4着になってしまったので、シンハライト複勝配当は260円にハネ上がったのです。帰りの阪急電車がどうなったかは定かではありません。

 

 複勝は、勝つ馬が先頭に抜け出しても、まだ当たるチャンスが残っているので、最後まで楽しめる馬券です。人気馬の複勝を数百円だけ買ってレースを観るというのも、初心者の方には良いのかもしれません。