願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

思い出のフェブラリーステークス 2003年 ゴールドアリュール

 僕が初めてリアルタイムで観たフェブラリーステークスである。そして、レースというものを「自分で考えた」最初期のレースである。

 

 2003年のフェブラリーステークスは中山ダート1800メートルで施行された。通常は東京ダート1600メートルで施行されるこのレース。だが、東京競馬場の大改修に伴い、前年の秋から東京競馬の開催を中山競馬場での開催に振り替えていた。よって、天皇賞秋・ジャパンカップダートジャパンカップは、この年のみ、中山競馬場で施行されていた。

 2003年のフェブラリーステークスは中山ダート1800メートルで施行されたと書いたが、これは前年のジャパンカップダートとまったく同一の条件である。よって、イーグルカフェーーというよりもデットーリが勝った前年ジャパンカップダートの再戦という色が濃かった。

 前年ジャパンカップダートに出走した馬は全部で8頭もいた。イーグルカフェ(1着)、リージェントブラフ(2着)、アドマイヤドン(3着)、プリエミネンス(4着)、ゴールドアリュール(5着)、スマートボーイ(7着)、ハギノハイグレイド(8着)、カネツフルーヴ(11着)。

 デットーリマジックによってイーグルカフェが優勝した前年JCDであったが、そこで人気を分けていたのは3歳馬2頭、アドマイヤドン(3着)とゴールドアリュール(5着)であった。そしてこの2頭が、このレースでも人気を二分していたのである。

 アドマイヤドンは前年JCDのあと休養、ぶっつけ本番で大外16番枠に入った。前年JCDでは僅差でアドマイヤドンが1番人気だったが、休み明けであることと、枠も嫌われて? ゴールドアリュールに1番人気を譲る形となった。

 ゴールドアリュールは、前年JCDの次走・東京大賞典を快勝、順調なローテーションでこのレースに臨み、1番人気だった。

 

 冒頭で、レースというものを「自分で考えた」最初期のレースだと書いた。レースを考えるとは、8割がた、レースを予想しているようなものだ。もちろん中学生の僕に馬券は買えなかった。だがしかし、この年のフェブラリーステークスは、前予想を立てるにはうってつけのレースだった。ゴールドアリュールアドマイヤドンイーグルカフェを逆転できるのか。前年JCD2着のリージェントブラフ……この馬は穴馬だが、どう扱えばいいのか。当日の馬場は? そんなことを幼いなりに考えていた。

 

 僕はイーグルカフェが勝つんではないかと思っていた。これは、甘い予想である。前年JCDで単20倍台で勝った馬を、しかも鞍上の腕でやっと勝たせた馬を、8.8倍で◎にしたのである。完全な後追い予想である。競馬ファンは甘くはない。

 イーグルカフェの鞍上についてもかなり考えた。JCDではデットーリが勝たせたが、このレースではミルコ・デムーロに乗り替わっていた。デットーリデムーロで何馬身違うのか? それともあまり手替わりに関係はないのか? これは他の競馬ファンもかなり気にしていたのではなかろうか。

 

 そして、この年のフェブラリーステークスは天気がどうなるかが心配されていた。前日最終レースでのダート馬場状態は稍重。しかし、日曜には雨が降っているかもしれない。週末の天気を気にするクセが、このころ身についた。

 もし足抜きの良い馬場ならば、リージェントブラフはどうなのか。差せるのか、差せないのか。そもそも足抜きの良い馬場とは何なのか。道悪のダートと良馬場のダートでは来る馬が違うのか。僕はなんにもわかっていなかった、そして今もわかっていない。

 

 こうしてみると、僕はイーグルカフェとリージェントブラフのことばかり考えていた。

 

 そして発走を迎えた。結局、公式発表は曇・稍重であった。

 スタートで、思わぬ波乱が起こった。アドマイヤドンがゲートを出たところでつまづき、あわや落馬という不利益を被り、後方に遅れてしまったのである。これでは届かない。アドマイヤドン単勝馬券を買っていた人がかわいそうだ。スタートで敗着であった。ところで当時、MBSラジオの中継の解説を担当していた吉岡哲哉トラックマンは、「アドマイヤドンは早熟だったのかもしれない」とレース後に解説していた。しかしこの見立ては完全に外れた。100%外れた。だから吉岡トラックマンのアドマイヤドン早熟説は、いまだに忘れていない。

 勝ったのはゴールドアリュールだった。3番人気のビワシンセイキが追い込んできたが、クビ差届かなかった。これが何度目かもわからない、「武1着、(横山)ノリ2着」である。イーグルカフェは3着だった。ラップはG1としてはやや緩い流れであり、人気薄で逃げたカネツフルーヴが4着に残った。

 

 ちなみに、実家の僕の部屋のクローゼットには、ゴールドアリュールのポスターが、いまだに飾られている。

 

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JRA-VAN公式サイトより転載)

 

 

※追記

 この記事を書き終えた後に、ゴールドアリュールの訃報が届きました。

 もうちょっと長生きしてほしかったな、と思うのは僕だけでしょうか。

 間違いなくダート種牡馬としては競馬史に残る名種牡馬でした。

 ご冥福をお祈りします。