願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

電撃文庫アニメを勝手気ままに振り返る 第12回『狼と香辛料』

bakhtin1988.hatenablog.com

 

「この記事で『彼』が言っているように、アニメを純粋に楽しめない時期が、私にもあった」

「だから、『このアニメはいつになったら面白くなるんだろう?』という感覚は私にもわかる。その感覚がエスカレートすると、『このアニメのどこが面白いのかわからない』という感情になる。アニメ作品に対する攻撃性を帯びることになる」

 

「さきほど『彼』と同じようにアニメを純粋に楽しめない時期があった、といったが、実は『狼と香辛料』(2008年)は、まさにそんな時期のアニメで、やはり正直に告白させていただくと、『なにが面白いんだろう?』的な部類に入るアニメであった」

「原作を先に読んだのか、アニメを先に観たのか、もう覚えてない。ただ、原作は一世を風靡したライトノベルだったというのは覚えている。私の知り合いだった某小説家が絶賛していたっけ」

 

狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)

 

 「原作の第1巻を読んだのは、はっきりと覚えている。

 大学にも行かず、中野区の学生マンションに引きこもって、コタツにくるまり、ひたすら本を読んでいた。しかしそれも長くは続かなかった。何を読んだか思い出してみると、片山憲太郎の『紅』、古川日出男の『ベルカ、吠えないのか?』などが思い出される。『狼と香辛料』も、そんなコタツひきこもり読書のなかで読んだ小説だった」

「ただ、そのころの私は、おそらく精神的に本が読めるような状態ではなく、『紅』に関しても、『ベルカ、吠えないのか?』に関しても、『狼と香辛料』に関しても、いったい何が書かれていたのか少しも思い出せない。たしかに通読したことは通読した。しかし、白紙のページをひたすらめくるような読書だった。『狼と香辛料』が悪いのか、私が悪いのか--たぶんどちらでもない。

 小説がつまらないというのと、小説に何が書いてあったのか思い出せないというのは、ちょっと違うのかもしれない。ちなみに最近の私は、小説を読むのが面白くて仕方がない。私のなかでコペルニクス的転回がどのようにして起こったのか--それは別の機会に説明するとしよう」

 

「たぶん、アニメ版『狼と香辛料』も、そんなコタツ読書の時期に観たんだと思う。先程も触れたように、私はこのアニメの何が面白いのかわからなかった。いや、正確には、『どこまで行ったら面白くなるのか?』という疑念を抱きつつ最終話まで来てしまった」

「私の感受性は異常なのだろうか。同年に『アリソンとリリア』というアニメがあったはずだ。これも電撃文庫アニメの一種であり、実に評判が悪かったアニメだったと思うのだけれど、私には『アリソンとリリア』のほうが『狼と香辛料』よりも何倍も楽しめた」

「衝撃的だったのは、監督の高橋丈夫が、『狼と香辛料Ⅱ』のあとに作ったのが『ヨスガノソラ』(2010年)だったことだ。『ヨスガノソラ』そのものが衝撃的だったということよりも、牧歌的な『狼と香辛料』シリーズからの作風の変わりように受けた衝撃のほうが大きかった。

 高橋丈夫監督は、現代でもっともムラっ気が強いアニメ監督のひとりだと思う」