願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

「馬鹿だったから」

 彼は言う、

「今でも覚えていることがあります。『ぽてまよ』が毎週楽しみだった、という話は前にもしました。当時のネットの評価も概ね好評だったと思います。ところが、僕の先輩から、先輩の友だちが『ぽてまよ』を観たけれども『大して面白くなかったよ』と言っていた、と聞かされたのです。

 先輩のご友人は、レンタルビデオ店でアルバイトをしていました。中身のチェックかどうか知りませんが、レンタルビデオ店の店員は、入荷されてきたDVDを観ることができたそうです。それで、その先輩のご友人は、2007年7月期アニメがビデオソフト化され、お店に入ってくる段になって、『ぽてまよ』のDVDを観る機会があって、『大したことないな』という風な感想を抱かれたそうな。

 そういえば、先輩に今期は『ぽてまよ』っていうアニメが面白いですよ、って僕が言っていたのかもしれません(そういう流れで先輩の友人が観た)」

 

  で、いったいなにが言いたいの? と彼に問うてみると、

「馬鹿だったから、2ちゃんねるで好意的に受け入れられていれば、現実でも好意的に受け入れられると思っていたんです。つまりネットの反応が、そのまま現実世界の反応にもあてはまると勘違いしていたのです。

 僕は、上京して、大学に入って、アニメに限らず、2ちゃんねるで書いてあることと正反対のことを言う人間にたくさん出会いました。上京したことの意義って、そこらへんに案外見いだせるのかもしれませんね。

 僕は『ぽてまよ』をもう一回観てみたいと思ってますよ」

 

 レンタルビデオ店。

 2017年現在、アニメに関しては、WEB配信に押されている感じがする。

 レンタルビデオ店の重要性は相対的に低下しているのだろうか。

「そういえば、10年前、僕が大学1年の時ですけど、ツタヤで旧作アニメを借りて、新番組と並行して結構観ていましたね」

 当時彼がレンタルDVDで観ていたアニメを訊いてみると、『灰羽連盟』『プラネテス』『天空のエスカフローネ』『カウボーイビバップ』『交響詩篇エウレカセブン』『LAST EXILE』といった作品の名前が上がった。

「まぁ、評判がいい過去作はとりあえず観ておこうって。

 ただ、それは間違いだったんですけどね。ネットの評価を鵜呑みにして、レビューサイトの高得点の上から順番に借りていくようなのは。

『観たい』アニメより、『観るべき』アニメを優先させてしまったのは、はっきり言って失敗でした」

 

 そして彼は、この時期、もう一つ大きな”失敗”をしてしまったという。

 いったい、どんな失敗だったのだろうか。