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願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

五七五(2)

マリア様 横目で流す ニーチェかな

教会に 継ぎ目を残す 聖トマス

ルーテルの 鉄の学び舎 街中に

荼毘の空 アウグスティヌス 抱き抱え

信仰を 集めて揺れる 金の鐘

回心を つとめて記す すすき紙

この国に 耶蘇のけぶりが 匂い立ち

読みたきは 炎のような 回心録

軸にして 回してみよう 法の杖

法学を 修めて迷う 大審院

今鳴らせ ボアソナードの 鎮魂歌

判例を うず高く積み 気力なし

判例を 筆写ましまし 世の夜明け

大学に 埋め尽くされし 鳥頭

国立を 一直線に クネクネと

ひとつぼし 付けて廻した 赤ろくろ

高い橋 メジロが鳴いた 新目白

クロースに 眠れる獅子の かほりかな

ザトペック 俺は機関車 無尽蔵

赤い本 夜空にかざす 帰り道

貧困を 解き明かせるは 心理学

ピーナッツ まっすぐ投げた 日比谷園

浅沼の 深みにはまり 幾星霜

ピーナッツ こぼして泣いた 有楽町

もふもふを 俺の褥に しておくれ

朝鳥の 小歌が響く 電子都市

ドライブで 噴水を観た こがね山

噴き上げの 川の流れに 身をまかせ

寺の鐘 鳴らせば行こう 冬づつみ

吊り橋を 壊せば堕ちる ベルゼブブ

寺の鐘 進んでいこう 夜を見上げ

血痕を 広げて晒す 裁判所

法廷画 焼いて食べよう ロケ弁当

あの年は すっからかんの 過去だった

浅沼を 差し切る音は 息絶えず

新聞を 品定めして 退店す

マスコミが 花壇に活ける すえた茎

本文の 大きな文字が 目に染みる

フラッグを 逆さに立てる 南口

音楽を 鳴らして走る 南口

音楽を 均して走る 南口

西口で 烈火の如く 爪をたて

ジュンク堂 座席に置きし 林檎鉢

黒夢を 幾星霜も 忘れ去り

『あかい夢』 求め求めて 筆を捨て

透明な 『ステラのまほう』 夢に観て

フロイトを 叩いてまわる 行軍よ

フロイトを 座右に置きて 茶を飲んで

フロイトよ 貴方の怨詛 満ち足りぬ