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願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

五七五七七(2)

彼の国の 言語の森が 響き合い あとに残るは 混沌一点

チェーホフの 戯曲の本を 音読し 包み込まれる 田舎街道

チェーホフと 『谷間のゆり』を 脇に入れ 引き裂いてくれ 俺のロジータ

仏蘭西の 揺籃に似た マラルメの からっぽだった 意味の素焼きを

仏蘭西の 黎明に耐え 飛行機で テニスコートを ぐるぐる廻る

革命を 数えて過ぎし 教会の 鐘が鳴らねば 自分で鳴らす

ひとかけら ハンバーガーを 手に取って あなたと遊ぶ 冬の双六

マルクスを 煎じて飲めば エンゲルス 壁は崩れる 見えぬ壁だけ

何でもは 知らないことを 知りそめて 初めて熟れた 恋の柿の木

道徳が ベルを鳴らして 呼んでいる 追放された 桃色の昼

父さんと 並んで弾いた ジャズの音が 三十路になって しみじみ響く

ギターだけ 女王の椅子に 立てかけて 鼓吹を叫ぶ ハゲの青年

北極に 近い陸地に 鎮座して 鎮座ましまし 缶詰は空

僕たちは ヒグマが下りた その日から 彼の話を 聴かなくなった

紙芝居 夕べの路地を 逃げまどい 水飴よりは ポテトチップス

日曜の 黎明に似た 映像の フィルムを切って 机にしまう

ひとひらの 欠けたもみじの 橙に 鼻を近づけ 豚は遁走

「立川の 車の群れは 幻か」 にじり寄るのは 社長のダン