願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

五七五

運命を 背中にしょった 兎の眼 

闇の奥 落ちてゆくのは 兎山

鹿が鳴く 鹿が鳴くなり 興福寺

奈良の道 踏みしだくのは 親子鷹

夜の奈良 汽笛の声も 消え入りて

鹿が跳ぶ やまとのきわに 跳んでいく

大和路を 激走するは 鉄の鹿

賽の目を 集めて最早 むしろかな

霧の朝 京都タワーが 泣いている

晩秋の 淀に鍛えし 神の馬

抱きしめて なんばの島で 夢踊る

花月から 聞こえ漏れ来る あぶの声

たこ焼きを 集めて蒸れし 袋かな

タケノコを 集めて蒸れし 夏の森

スピッツの 「夏の魔物」を 耳にあて

夏は過ぎ 秋も過ぎゆく 日本晴れ

功名を 捨てて去りゆく 秋のかげ

天元に 碁石を叩く 文化人

王将を 集めて哀し 駒の箱

秋は過ぎ 二色の独楽は もうおらず

林檎だけ 分け前をくれ 雪の島

青梨と 赤林檎だけ 抱きしめて

ハチミツを 螺旋のように 廻す午後

米を研ぎ 集めて蒸らす 浅い冬

黒々と ざらざら紙に ロゴタイプ

いろいろと 不足している 足の裏

まだ足りぬ モラトリアムを 抱きしめて

銃声が 寄せては返す あずまなみ

霧吹きと 箒を揺らす 裏日本