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願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

井戸の中のカエルが大きな海を知った時

「ーー身の上話をすると、実は僕、東京に出てこなかったら、アニメオタクでなく、漫画オタクになっていたかもしれません。

 

 例えば、地元で就職して、働いてお金を稼いで、そのお金を何に使うかっていうと、漫画本につぎ込んでいたかもしれない。

 いわゆる『大人買い』ってやつですね。

 

 僕の高校時代って、2004年度から2006年度なわけですけど、その期間、実はほとんど新作アニメを観ていないわけですよ。

 

 なんでかっていうと、『カレイドスター』っていう、自分にとって最も影響が大きかったアニメが終わって、その喪失感でーーアニメはもういいや、アニメも卒業かな、っていう感情が心のどこかであったんだと思うんです。

 

 漫画は読み続けていましたね。高校生時代、僕は路線バスで学校から家に帰っていたのですが、バス停の近くに新古書店があったんです。

 その新古書店にけっこう漫画単行本が揃っていたんで、昼飯代をできるだけ節約して、1日1冊ずつ買っていくとか。そういうことをしていました。

 そうですね、高橋留美子の『めぞん一刻』とか、そういう読み方をしていました。

 

 でも、そうやって精一杯漫画を読んでいても、数限りない漫画の集積の”上澄み”しかすくえないわけですよ。

 

 これは実際の体験談です。

 大学の『新歓コンパ』ってありますよね。

 その2次会で、とある喫茶店に入ったわけです。

 今では小説家になっている某氏が、こう言われたんですよ。

 

『君の好きな漫画を3つ教えてくれ』

 

 僕はこう答えました。

『【ドカベン】と【かってに改蔵】と【School Rumble】です』

 彼はこう言いました。

『そりゃ、【×××】とか【▲▲▲】とかしか読まない奴よりはマシだけど……』

 かなり不満そうでしたね。

 井の中の蛙大海を知らず、ってのは、こういう瞬間のことを指すんだと思います。

 まさに、自分がいかに何も知らずに東京に出てきたのか、それを思い知らされた。文学にしても、音楽にしても。

 

『【ポーの一族】を読んでない奴と漫画の話をしたくない』

 

 彼がそこで言い放ったこの言葉は、たぶん一生忘れないと思います。」