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願いがいつか叶うまで

ひとりじゃない

電撃文庫原作TVアニメを勝手気ままに振り返る 第8回『半分の月がのぼる空』/『しにがみのバラッド。』

 

イリヤの空、UFOの夏〈その1〉 (電撃文庫)
 

 

 

 

イリヤの空、UFOの夏』というライトノベルがあった。電撃文庫から出ていて、秋山瑞人が作者で、絵が駒都えーじだった。全4巻で、高校時代のおれは、それをセットで買って、特に最後の方は徹夜で読み通していた。

 通過儀礼だった。あの頃の秋山瑞人作品は10代男子にとって通過儀礼だった。「セカイ系」とかそんなこと関係なく。ラノベという枠を超えた何かがあった。電撃文庫なのに、何か神々しいものをまとっていた。

イリヤの空』は残念ながらテレビアニメ化されなかった。OVAが出ているので、テレビアニメを観るよりもむしろ観やすいかもしれない。東映アニメーションが制作している。シリーズディレクターは伊藤尚往で、去年『オーバーロード』というテレビアニメを監督していた。

 

イリヤの空、UFOの夏』と並んで、マストバイ的な作品とされていたのは、『半分の月がのぼる空』だったように思う。

電撃文庫から出ていて、たしか全6巻(本編)で、作者は橋本紡で、絵師は誰だったっけ、調べてみたら山本ケイジだった。橋本紡は、その後ライトノベルの外に出て行って活躍しているようだ。

あの頃は理屈っぽいところがあった。ラノベに関しても「こうあるべきだ」的な観念? みたいなものがあって、『フルメタル・パニック!』ですら、市場を回していくタイプの側に分類されていて、秋山瑞人の(他称セカイ系ライトノベルなんかは対極にあった。『半分の月がのぼる空』略して『半月』も、『イリヤの空』や『猫の地球儀』の側にある作品だったように思う。

イリヤの空』は2001年、『半月』は2003年に始まっている。おれが高校時代を過ごしたのは、2004年から2006年だ。つまり、ちょうどこの2作品がもてはやされていた時期である。

大学に通うため東京に出てきた時、あわてて『半月』本編全6巻を買い込んだが、残念なことに読まずじまいだった。

あの頃は、異能が出てこないライトノベルを、『半月』と『学校の階段』(ファミ通文庫)のほかに知らなかった。知らなかっただけで、たぶん他にもあったのだろう。

ただ、2016年現在、異能を主体としないライトノベルがこんなにも流行っていることを、あの頃のぼくらは予見できなかった。その意味で『半月』は異彩を放っていたし、ある種神々しいオーラをまとっていた……。

 

さて。

不遇に終わったと言われるTVアニメ版に触れるべきなのだろうか。

というのも、本編が全6巻の小説を全6回で終わらせるのは、素人目にも無茶がすぎる。その意味でアニメ版は不遇であり、視聴を妨げている。

そして、アニメ版『半月』に触れる上で、どうしても後番組の『しにがみのバラッド。』に言及せざるを得なくなる。このアニメも、電撃文庫原作で、全6回だった。

そして『半月』も『しにがみのバラッド。』も、同じように実写版が存在する。

かつての電撃文庫が「メディアミックスが不得手」だったという風聞は、こんな所から出ているのだろうか? 僕にはわからない。